花様年華。
「満開の花のように女性が一番輝いている時」
先日、2012 NY FASHION
WEEKが幕を閉じました。
インターネットの普及によって、世界中どこにいてもほとんどタイム・ラグを感じることなく情報が得られるようになりました。画面上にあふれる映像からは、まるで自分がショーのバックステージに入り込んだような臨場感すら味わうことができます。
もしかしたら、そう遠くない未来には、3Dライブ映像を通して世界中のショーに参加できる時代が来るかも知れない……なんて、FASHION WEEKの余韻に浸りつつ、科学技術の未来に思いを馳せる午後です。
私も今回のNY FASHION
WEEKをネット上で追いかけていた一人ですが、そんな中で一番印象に残ったショーをご紹介します。
台湾出身のデザイナー、JASON WUのランウェイ。
重々しい真っ赤な扉がゆっくりと開き、真っ白なスモークが流れ出る中、颯爽と現れたモデルたちが身にまとうのは、チャイニーズ・テイストのミリタリー。 唐草罫のレースやフリンジのアクセサリー、スリットの入ったスカート。そんな伝統的なスタイルに、彼が今回加えたエッセンスは力強い女性の美しさ。
トレンドよりも美しい服。
JASON WUの貫いてきたこのスタイルは、トレンドに対して自分が感じた美しさを、より現代的に、よりエレガントにアレンジすること。
アジア人のデザイナーによるアジアン・テイストのデザインはリスキーであると言われている中、JASON
WUが敢えてそこに挑戦した意味は大きいと思います。
スポーティからクラシカルに、そして最後はセクシーに。ショーの中で、JASON WUは自分の考える女性らしさを守りながらも、新しいスタイルを次々と提案していきました。その一連の流れの中で表現した、ストーリー性のあるドラマティックな演出は観客に強い感動を与え、その余韻はショーが幕を閉じた後も響いていました。
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JASONのランウェイ映像を見つめながら、私が思い出した言葉は「花様年華」。
儚く、でも力強く、美しく咲く花に女性を例えたこの言葉は、ウォン・カーウァイ監督の長編映画のタイトルにもなっています。
2012FW JASON WUのランウェイ。
アジア女性の秘めた、上品でしなやかな美しさを再認識させてくれました。